抗炎症作用とは:癒しのハーブ浸出油(マセレーションオイル)
先日、抗炎症作用に優れたシアバターの魅力をお伝えしましたが、「炎症」と言えど、筋肉、皮膚、神経、等々、からだの部位により異なる反応があり、「抗炎症作用」と一言でいえど、どこに作用するのかは非常に迷うところではないでしょうか。
今日は、ハーブの浸出油であるマセレーションオイル(ハーブインフューズドオイル)と、
その中でも、特によく知られる
①アルニカオイル
②セントジョーンズワートオイル
③カレンデュラオイル
の3つを比較しながら、抗炎症作用に優れたオイルについて、簡単にまとめてみます。
マセレーションオイルとは、ハーブを植物油に漬け込んだオイルで、漬け込んだハーブに応じて、薬効有効成分があり、それぞれに特徴的な抗炎症作用を持ちあわせます。
アルニカオイルは、薬草アルニカ(キク科 アルニカモンタナ 和名 ウサギギク)をひまわり油やオリーブ油などの植物オイルに漬け込んで、その有効成分を浸出させたハーブの浸出油。
筋肉に対する抗炎症作用が特徴で、筋肉痛の緩和に有効であるとの研究結果も数多く出ています。※。
ところで筋肉痛とは、専門用語では、「遅発性筋肉痛」と言い、久々に運動をした後などに感じる筋肉の急性の痛みに対して用いられ、慢性の肩凝りや腰痛などとは違う種類の痛みと炎症になります。
アルニカオイルに効果的なのは、「遅発性筋肉痛」
つまり、スポーツ前後やもみ返し防止のマッサージオイルとして用いると効果的でしょう。
また、急性の腰痛や寝違いなどで生じる短期的な肩や首の炎症と痛み、立ちっぱなしなどによる足の疲れなどにも役立ちます。
アルニカオイル:主な効能
- 筋肉痛、筋肉疲労
- 打ち身、青あざ、傷の痛みの軽減
- 筋肉の腫れやねんざ
- リュウマチ
- 日焼け後のダメージやおむつかぶれ
セントジョーンズワート(オトギリソウ科 別名: ハイペリカム 和名:セイヨウオトギリソウ)を漬け込んだオイルです。
「天然の抗うつ剤」とも呼ばれ、軽度の鬱や不安の緩和にハーブを煎じて飲んだり、サプリメントなどとして経口する形で利用されているのがよく知られるところ。
外用としては、「神経の炎症」に作用すると考えられ、伝統的に、神経痛、線維症、関節炎やリュウマチの緩和を目的に使用されています。
長時間による運転や座りっぱなしなどからくる坐骨神経痛、及び、それに関連する腰痛、また、ストレス、イライラからくるからだの強張りをリラックスさせるマッサージオイルとして利用すると良いでしょう。
筆者の経験では、セントジョーンズワートオイルを用いてマッサージをすると、からだが非常に緩み、眠くなるので、深いリラクゼーション効果を実感しています。
また、次に述べるカレンデュラオイルとともに、やけどや傷、乾癬、ヘルペスなどの皮膚の炎症にも非常に有効です。
セントジョーンズワートオイル:主な効能
- 神経痛、線維症
- 坐骨神経痛、腰痛
- 関節炎、リュウマチ、痛風
- ストレス、リラックス
- 顔面神経痛
- 痔、切り傷、ヘルペス、蕁麻疹
- 打ち身、青あざ
カレンデュラオイルは、マリーゴールド(キク科: 和名きんせんか)を植物油にインフューズしたオイル。
こちらは、やけど、切り傷、擦り傷、乾癬、また、ニキビなど様々な皮膚の炎症に有効で、傷の治りを高めます。
また、カレンデュラオイルは、マセレーションオイルのみならず、二酸化炭素超臨界抽出法により抽出された「カレンデュラCO2エキストラクト」もあります。 こちらは、他のオイルやクリームに希釈して使用する必要がありますが、フラボノイドなどハーブの有効成分がマセレーションオイルよりも多く濃縮されており、より高い抗炎症作用が期待できます※。
肌荒れ、日焼け後のダメージ、あかぎれ、ひび、しもやけなど、ヒリヒリ感や赤みや腫れがある皮膚の症状に使用すると、治癒力を高め、肌の鎮静と保護に役立つでしょう。
セントジョーンズワートと一緒に用いることで、更に効果が高まります。
カレンデュラオイル:主な効能
- 湿疹、おむつかぶれ
- 切り傷、かすり傷
- あかぎれ、ひび、しもやけ
- 皮膚のかゆみ、赤み、かぶれ
- やけど、日焼け
- 青あざ
- 静脈瘤など
インフューズドオイルはそれぞれ(アルニカ、セントジョーンズワート、カレンデュラ)のハーブを植物油(ひまわり油など)に漬け込んだオイルです。 これらの特徴は、ハーブの有効成分による強い抗炎症作用。
- 筋肉痛、筋肉疲労、腰痛など、筋肉の症状には、アルニカオイル
- 坐骨神経痛、神経痛、ストレス性倦怠感など、神経の症状には、セントジョーンズワートオイル
- 肌荒れ、湿疹、日焼け後のダメージ、傷など、皮膚の症状には、カレンデュラオイル
と、覚えておくと分かりやすいでしょう。
身体に負担をかけることなく効能を長期的に持続させるために、マセレーションオイルを毎日使用する場合や全身のボディマッサージオイルとして使う場合、一般的には、10〜20%を別のベースオイルに希釈して使用します。
ただし、症状がひどく、短期的に局所的に使用する場合は希釈せずに使用しても問題はありません。回復も早くなるでしょう。
カレンデュラCO2エキストラクトは、香りのない濃縮エキスですが、基本精油と同じ使い方で、別のベースオイルに0.5-2%ほどの割合で希釈して使用してください。
次回は、こちらのマセレーションオイルとシアバターを組み合わせた抗炎症作用の高い「万能ヒーリングソルブ」のレシピをお伝えします!