シミに効く7つのルート |シミをキレイにする化粧品の選び方 |ロンドン
シミのお手入れには、時間とケアへの専念が必須です。
エンビロン開発者で皮膚医のDr. フェルナンデスも、「シミへの対処には、必要かつ重要な要素がたくさんあり、ひとつの”魔法の成分”ですべてを解決することはできない」と言うほどに、シミは、最もケアが難しいお肌の悩みのひとつ。
エンビロンを使用するしないに関わらず、シミができる皮膚の基礎知識を知っておくと、エステケアや化粧品を選択する際に役に立ちます。
今日は、シミの仕組みを理解しながら、化粧品でのシミケアをポイントをお伝えします。
シミは、角質層の最も下層である基底層に存在するメラニン細胞(メラノサイト)から分泌されるメラニンが表皮細胞(ケラチノサイト)に取り込まれ、角化作用で代謝しきれずに、角質層に留まってしまうためにみられる症状です。
シミを効果的に薄くしていくために、まずは、メラニン生成過程における、以下の「7つの通過点」をおさえましょう。
- 紫外線
- メラノサイト活性化因子の放出
- チロシナーゼの分泌
- チロシンの活性化
- メラニンの生成
- ケラチノサイトへ移動
- 色素を減らす
シミの原因は、紫外線、ブルーライト、ホルモン分泌過多、投薬治療、ストレス、喫煙など、様々外的/内的要因が挙げられます。 この中で、シミの最大の原因は、紫外線とも言われており、毎日、日焼け止めで紫外線をできる限りブロックすることが、これ以上シミを作らせないことにおいて一番重要です。
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加えて、紫外線などで皮膚がストレスを受けることにより発生する活性酸素を、抗酸化成分やビタミンA、C、Eなどで軽減することも、表皮の健康を守りながら、シミになる原因を最小限に抑えていく上で欠かせません。
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次に、様々な要因で皮膚が刺激されると、表皮細胞で、メラノサイト活性化因子が放出され、メラニン細胞がこの情報を受け、メラノサイト内にシグナルを送り、メラニン生成が始まります。
よって、美白ケアの第一歩目は、このメラノサイト活性化因子の放出を抑え、メラニン細胞への過剰な情報伝達を抑えること。
この段階のシミ生成を抑制させる成分は、様々な研究があり、よく耳にするトラネキサム酸もそのひとつ。
トラネキサム酸は、メラノサイト活性化因子のひとつであるプラスミンを阻害させる作用があります*。
他にも、ヒメフロウエキス(Geranium Robertianum Extract)は、炎症を引き起こす原因と見られる酵素トリプターゼの働きを抑え、皮膚を光老化から保護する効果があると報告されていたり**、バイオベネフィティ(アーチチョーク葉エキス)には、紫外線などの刺激により、皮膚の表皮細胞に存在するNF-カッパBが過剰活性を抑制することで、光老化を抑える作用があるというリサーチ結果もあります**。
全く話がそれますが、色々と勉強していると、この段階でのシミ対策に関しては、植物性エキスの研究が多く見られるのが特徴なんですよね。
植物の大自然の中での生存競争で培われた自己保護能力が、抗炎症作用や抗酸化作用などとして、我々人間が恩恵を受けているんだなという感謝を忘れてはいけないなと思わされます!
ちなみに、ヒメクロウエキスは、植物のゼラニウム(Geranium Robertianum)から抽出されるエキスです。
アロマセラピーの分野でも、皮膚に対する抗炎症作用が最も高い精油がゼラニウム(Pelargonium)と言われており*、ヒメクロウエキスと精油が抽出されるゼラニウムは品種に違いこそあれ、互いに皮膚に対する高い抗炎症作用を示しているのは、面白い共通点だなと感じました。
メラノサイト活性化因子は様々なものが考えられるので、ある程度はブロックできても、全てを抑えることは難しいと考えるのが無難です。
チロシナーゼは、メラニン生成に関わる最も重要な酵素で、メラノサイト活性化因子により、分泌が活性化されます。
そこで、このチロシナーゼの過剰分泌を抑えることが、シミ形成の初期段階での最も直接的なアプローチとして重要になってきます。
様々な美白化粧品を見渡しても、シミプロセスにおけるこの部分、チロシナーゼ活性阻害作用に着目した成分が配合されているのが多いですね。
アルブチンという成分。聞き覚えがある名前だと思われる方も多いのではないかと思いますが、これは直接チロシナーゼに作用して、活性を阻害することで、メラニン生成を抑制する成分として知られています*。
ちなみに、アルブチンには、αアルブチンとβアルブチンがありますが、ハイドロキノンとグルコースの結合してできたハイドロキノン誘導体であるαアルブチンの方が優れたチロシナーゼ活性阻害作用があるとされています*。
また、「シミにC」と覚えても良いくらい、ビタミンCはシミケアに欠かせない成分ですが、ビタミンCにも、チロシナーゼ活性阻害作用*があり、初期発生因子を抑えていきます。
次に、チロシナーゼが分泌されると、メラニン細胞(メラノサイト)内の、チロシンというアミノ酸と結合して、徐々に形を変えながら、メラニンが形成されていきます。
シミケアでは、このチロシンの活性をブロックしていくことも見逃せません。
セピホワイト(ウンデシレノイルフェニルアラニン)という成分は、ナイアシンアミドとの混合で、シミの軽減に効果があるという実験結果が出ています*が、この成分にはαメラニン細胞刺激ホルモンを阻害して、メラニン細胞内のチロシンの活動を抑える働きに期待できる成分と言われます。
チロシンは、徐々に変化して、ドーパ、ドーパキノンと形を変え、やがて、メラニンとなります。
そこで、この変換ルートを遮断していくこともシミ予防には有効です。
グリコール酸、乳酸*、また、ビタミンC*には、メラニン生成抑制作用があるとされます。
また、ビタミンCには、ここで黒化したシミの色素を還元する作用があると言われています*。
メラノサイトでつくられたメラニンは、細胞内のデンドライト(樹状突起)と呼ばれる細長い枝状の突起を通して、ケラチノサイト(角化細胞)に受け渡されます。
シミ予防には、このメラニンの移動を軽減させることもポイントになってきます。
ナイアシンアミドには、このメラニンのケラチノサイトへの受け渡しプロセスを抑制することで、メラニンの過剰な表面化を防ぐと言われます*。
そもそもメラニンは、紫外線などの刺激から皮膚を守るために製造されるからだにとってなくてはならないものです。問題は、このメラニンが過剰に作られ、皮膚内に留まってしまうこと。
つまり、角質層に沈着してしまった色素を減らすことが、できてしまったシミを薄くすることに繋がります。
ハイドロキノンは、チロシナーゼ阻害作用と共に、出来てしまったシミの漂白作用が示されています*。
乳酸などのAHA酸は、皮膚のターンオーバーを高めます*。
また、ビタミンA、C、Eで健康で丈夫な角質層を再生することも、シミの排出を助けるでしょう。
以上、化粧品に関しては、紫外線防止に加えて、6段階に渡るシミ形成プロセスの7つのルートに働きかける製品がシミをキレイにする近道かと思います。
美白成分、抗酸化成分、抗炎症成分などが配合され、総合的に安全に構成されたシミ用化粧品かを吟味して、選択するようにしましょう。
そして、それを皮膚により効果的に働かせるよう、美顔器やマイクロニードルなどを駆使したり、食事やサプリメントで内側からケアしていくこともポイントです。